2025-04

深淵教典

翼の啓示

ショッピングモールに行った。喧騒と無数の光が混じり合う場所。そこは来週、異端の六芒星達と訪れる予定の場所だった。時空の歪みを感じつつも、引き返す選択肢はなかった。集合場所に向かうと、すでにディスパーサー先輩、ファインダー先輩、そしてガーディ...
深淵教典

漆黒の翼

俺は美術部の片隅で思考の海に沈んでいた。母との買い物計画が脳内を占拠しており、目先のことが手につかなかった。しかし、その静寂を破る人影が現れた。「どうした?」2年生の男の先輩が俺の領域に入り込んできた。母との買い物のことを口にすると、彼は「...
深淵教典

禁忌の衣

ショッピングモールへの遠征を控え、俺は母に金銭の援助を求めた。俺が無駄を省いた短い言葉で頼むと、母はじっくりと俺を見つめた後、問いを放った。「誰と行くの?」俺は異端の六芒星たちについて簡潔に説明した。その答えを聞いた瞬間、母の動きが止まった...
深淵教典

顧問曰く

「絵だけ描いていても、いい絵は描けません。」意味は理解できる。世界を知らずして、何を描けるというのか。未知なるものに触れなければ、世界は広がらない。今日、俺が部活へ赴かなかったのは怠惰になったからではない。これは成長のための選択だ。放課後、...
深淵教典

美術部

俺の夢は、絵を描く仕事に就くこと。いつか、自分の描く世界が誰かの心に響くような、そんな絵を描けるようになりたい。しかし、今の俺ではその夢に辿り着けない。もっと高みを目指すには、技術を会得する必要があると感じていた。そんな俺が見学に足を運んだ...
深淵教典

異端者たち

通常授業が始まり、俺の高校生活が本格化した。母が丹精込めて作ってくれた弁当を、静寂の中で食すつもりだった。しかし、運命の歯車はまた狂い始める。「よかったら一緒に食べないか?」話しかけてきたのは、あの日、ファミレスに誘ってきた優男。軽やかな口...
深淵教典

影より出ずる者

昨日の帰り際、グループチャットを作るという提案に俺も巻き込まれ、なんとなく交換した連絡先。やはり、メッセージアプリ内でも俺は影法師でしかなかった。彼らの軽快なやり取りが流れてくる中、俺の画面はただ沈黙していた。メッセージを打とうとしたが、テ...
深淵教典

影法師

入学式が終わり、俺はただ静かに帰宅しようと足を進めていた。しかし、運命の歯車が狂い始める。「ファミレスに行かないか?」と、話したこともないクラスメイトに誘われたのだ。断る理由も浮かばず、俺は頷いてしまった。そして後悔した。ファミレス。そこは...
深淵教典

終わりの始まり

来週から、俺の運命が大きく動き出す。高校生活が始まるのだ。単なる日常の延長線上と考えるのは愚者の極み。これは、新たな力を手にするための試練に他ならない。友情、愛情、裏切り、陰謀、あらゆる場面に闇が潜んでいるだろう。だが、恐れることはない。す...