2025-06

深淵教典

蒼の入口

昨日の帰り際にファングが呟いた言葉が俺の中で波紋を広げたていた。「夏休み入ったら、みんなでプール行こうよ。」その一言に即座に応じたグラトニー。つまり、これは男子も含めた召集命令。逃れられぬ定めということか。俺にあるのは、学校指定の水着のみ。...
深淵教典

交わる思い

例のファミレスにて、期末テストに備えた勉強会が開催された。前回のメンバーに加え、今回はドリーマーも参加していた。ヴァンガードは相変わらず一人で修練している。前回は姿を見せなかったドリーマーに今回参加した理由を尋ねた。彼女は少し恥ずかしそうに...
深淵教典

沈黙の知らせと六芒星の集い

久しぶりに俺たちの馴染みのファミレスに集った。どうやら皆、この場所を特別な拠点として気に入っているようだ。俺は心の片隅で呟く。同じメニューばかりで飽きたりしないのか?俺の労働への挑戦は終焉を迎えていた。一週間以内に連絡すると告げられたが、沈...
深淵教典

空が泣いてる…天気予報では晴れだったはずだが、雨が降った。傘を持っていなかった。今日は部室に先輩達はいない。一人で行くのも決まりが悪く、雨がおさまるまで図書館で待つことにした。図書館へ行くと見知った顔が二人、ヴァンガードとサイファーがいた。...
深淵教典

八百万の神

世界には八百万の神々が存在するという考え方がある。至る所に神が宿り、人々を見守っているのだとか。ある日のことを思い返す。隣の席で女子たちが笑いながら話す声が耳に入る。「昨日のドラマ見た?」「◯◯君、マジ神!」その"神"という言葉に、どこか滑...
深淵教典

黒炎に抗う者

面接の日が決まった。来週だ。人生は試練の連続とは、よく言ったものだ。緊張という黒炎がじわじわと魂を焼き尽くそうとしている。だが、それに屈するつもりはない。俺は審判の刻に備え、精神の均衡を保つ事にした。証明写真を撮り、履歴書を書く。普段は気に...
深淵教典

混沌の運び屋

近頃、気の流れが淀んでいる。空気が重く、見えざる力がこの世界を覆い尽くしている。世界の理が乱れ始めた証拠だ。その原因は明白。背後で蠢く"混沌の運び屋(カオスベアラー)"どもが、再び混沌を広げているに違いない。この状況を甘く見れば、世界そのも...