2025-07

深淵教典

精神機械化

ティッシュ配りのバイトをした。それは、渡すだけ。ただそれだけだが、向き不向きがあるだろう。しかし、俺は発見した。この仕事の極意を。それは、感情を封印し、意思を捨て自らを配るだけの機械へと変えることだ。断られようが無視されようが、何も感じない...
深淵教典

魂の牢獄

終業式を終えた俺たち異端の六芒星は、映画館へと足を踏み入れた。だが、この空間は俺にとって牢獄にも等しい。六人の見たい映画が完全に一致することなどありえないからだ今回も例外ではなく、誰かが己の魂を押し殺さねばならなかった。選ばれた映像作品に興...
深淵教典

強制招集

期末試験が終了し、夏休みまでのカウントダウンが始まった。美術部に来ていた俺はそこで直近の悩みである「水着」について相談した。節約の名のもと、学校指定の水着で済ませるのは許されるのか。この問いに答えを得るべく、俺は美術部の先輩たちに意見を求め...
深淵教典

歪む刻の法則

もうじき、夏が臨界点を迎える。太陽が大地を焦がし、陽炎が揺らめく季節。今年は時の流れが早く感じられる。重力は時を歪めるそうだが、俺が重力系の能力に目覚めたわけではない。なぜかはわかっている。俺の世界に友と呼べる存在が現れたからだ。楽しい時間...