深淵教典 静寂の領域 部活へ行った。今日は俺が美術室の鍵を借りた。文化祭で展示する絵を仕上げた先輩たちは、自分たちのクラスの準備に専念するのでしばらく来ないそうだ。つまり、この空間は俺だけのものだ。静寂が支配する空間で、俺はただ絵を描く。余計な会話も、誰かの気配... 2025.09.17 深淵教典
深淵教典 叶わない願い 文化祭の準備期間に入り、六芒星の女性たちと美術部の先輩たちは各々の持ち場へと消えた。俺たちのクラスはいつも通りだ。授業が終われば、帰宅するなり、部活へ向かうなりしている。俺たち三人も、いつものようにファミレスへ集った。「他のクラスを見てたら... 2025.09.12 深淵教典
深淵教典 偽りの仮面と再起の光 新学期から、部活中にガーディアン先輩が勉強に励むようになっていた。彼の休憩中に文化祭で何をするのか、何気なく問いかけた。「何もしないかな」何もしない? まさか先輩も休憩所…?「そうだろ?」とぼけた様子でディスパーサー先輩に話を振る。「そうだ... 2025.09.09 深淵教典
深淵教典 宿命 異端の六芒星たちと集う、お馴染みの空間。その名はファミリーレストラン。そろそろ、この集いに相応しい名を考えるべきかもしれない。話題は文化祭。彼女たちのクラスはお化け屋敷を創り上げるという。その言葉に、僅かな羨望が芽生えそうになる。「休憩所?... 2025.09.05 深淵教典
深淵教典 休憩所 9月27日の文化祭。俺たちのクラスは「休憩所」をすることになった。学校生活に疲れた者たちに安息の場を提供する……建前はそうだ。実際は、最低限の労力でやり過ごすための選択。机と椅子を並べるだけで完結する怠惰の産物。何か提案すれば、その瞬間に責... 2025.09.04 深淵教典
深淵教典 限界 今日は始業式だった。教室に足を踏み入れた瞬間、肌に馴染んだ空気が流れ込む。見慣れた光景のはずなのに、どこか違う。体育館で校長の言葉が響く。ただの音の羅列に過ぎず、意識に刻まれることはない。担任の声も同様だ。形式的なやり取りに、特筆すべきもの... 2025.09.01 深淵教典