今日は部室でディスパーサー先輩の生誕祭をした。
荘厳な祝宴に相応しきケーキを用意するには、制約があった。冷蔵庫がなく、授業中に保管する場所がなかったのだ。なので、俺たちはケーキ屋の門を叩くことを断念した。
代替案として、コンビニで買うこととなった。
放課後、俺とガーディアン先輩はコンビニへ向かった。
その道すがら、俺は一つの願いを口にする。
「俺も誕生日に先輩の絵が欲しいです」
静かに笑みを浮かべるガーディアン先輩。
「来年は受験勉強で忙しいから無理だな」
簡単に断られてしまった。
部室に戻り、全員が揃った。
祝福の歌が響く中、ガーディアン先輩の描いた鷲がディスパーサー先輩の手に渡る。
続いて俺の番。
贈り物は、写真立て。
かつて共に訪れた”蒼の楽園(プール)”にて刻まれし一枚の記録が収められている。
最後に、ファインダー先輩が贈り物を手渡す。
それは、漆黒の軌跡を刻むボールペンだった。
「ありがとう、大切にするね」
ディスパーサー先輩の瞳が、かすかに潤んでいるように見えたのは錯覚ではない。
俺は、血族以外から祝福されたことはない。
血族に祝ってもらった時は、涙が出てくることはなかった。
友という存在からの祝福は、異なる感情が生まれるのだろうか。
「みんなの誕生日も、絶対に祝うから」
ディスパーサー先輩の言葉が心の奥底に響く。
六芒星の生誕の日が頭をよぎる。
だが、五人分ともなれば、相応の財が必要となる。
今は、沈黙し闇に紛れることにした。
