今日はラーメンの日。ドリーマーは予定があり、五人での出陣となった。
電車に乗り、流れ去る景色を眺めながら揺られる。放課後に都会へ向かうと、大人になったような気分になる。
目的地は、グラトニーが誇るとっておきの店。
電車の中でファングがどんなラーメンなのか問うと、グラトニーは写真を見せ、「小ラーメンにしたほうがいいよ」と忠告した。
そこに映るは、圧倒的物量のもやしの山脈。
この量が普通なのか?
開店までの時間を雑貨屋で過ごす事にした。会話の流れで、先輩の生誕の日を祝った話をし、そこからそれぞれの生誕の日を聞いた。今年の彼らの生誕の日は過ぎ去った後だった。
開店時間となり、店内へ足を踏み入れた。
漂う香りが食欲を刺激し、無意識に喉が鳴った。
券売機の前で、小ラーメンのボタンを押す。
食券を渡すと店員にいろいろ問われた。どうやらラーメンに変化を加えることができるらしい。初めてくる店で何が変化するかわからなかったので全ての質問に「普通で」と答えた。
そして、ついに運命の一杯が姿を現した。
見た瞬間、思考が一瞬停止する。
これは……本当に「小」なのか?
そう思い、他の四人と視線を交わす。
グラトニーが見せた写真とは幾分か抑えられているが、それでも異様な質量。
店員が間違えた?同じ「小」を注文したヴァンガードの器を見たら同じ量のラーメンがきていた。
つまり、これがこの店の「小」なのだ。
一口目は美味かった。
だが、進むにつれて、胃に蓄積される圧が増していく。
己の限界が、静かに近づいてくるのを感じた。
それでも、俺たちは食らい続ける。
最終的にヴァンガードを除く四人が完食した。
そして、店を出る瞬間。
「お疲れ様でした」
背後から聞こえたその言葉が、妙に心に残った。それは、一仕事終えた後の労いのようだったからだ。
帰り道、満たされた腹は重き枷となり、俺たちは沈黙する亡霊と化していた。
グラトニーが何か語るが、それに応じる余裕はない。
ただ、夜の帳に紛れる四つの影が、低くくぐもった呻きを残していくだけだった。
グラトニーの「とっておき」は、まだまだある。
いつかそのすべてを制覇してみせる。
俺は今宵の月に誓った。
