黒炎に抗う者

深淵教典

面接の日が決まった。来週だ。
人生は試練の連続とは、よく言ったものだ。

緊張という黒炎がじわじわと魂を焼き尽くそうとしている。だが、それに屈するつもりはない。俺は審判の刻に備え、精神の均衡を保つ事にした。

証明写真を撮り、履歴書を書く。普段は気にしない字の乱れも、ここでは致命傷となる。一画ずつ慎重に、まるで封印術を施すかのように筆を進める。渾身の出来だった。

だが、履歴書を完成させただけでは、この胸のざわめきは収まらなかった。

電脳海(インターネット)へと潜り、面接の情報を集める。しかし、知識を蓄えるほどに「本番で力を発揮できるのか」という不安が湧き上がる。

冷静になれ。審判の刻まで、黒炎は消え去ることはない。備えを万全にした俺にできることは、待つことだけだ。

黒炎に呑まれるのか、それとも打ち破るのか。

この試練を越えた先に、俺の道は続いている。

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