深淵教典

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八百万の神

世界には八百万の神々が存在するという考え方がある。至る所に神が宿り、人々を見守っているのだとか。ある日のことを思い返す。隣の席で女子たちが笑いながら話す声が耳に入る。「昨日のドラマ見た?」「◯◯君、マジ神!」その"神"という言葉に、どこか滑...
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黒炎に抗う者

面接の日が決まった。来週だ。人生は試練の連続とは、よく言ったものだ。緊張という黒炎がじわじわと魂を焼き尽くそうとしている。だが、それに屈するつもりはない。俺は審判の刻に備え、精神の均衡を保つ事にした。証明写真を撮り、履歴書を書く。普段は気に...
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混沌の運び屋

近頃、気の流れが淀んでいる。空気が重く、見えざる力がこの世界を覆い尽くしている。世界の理が乱れ始めた証拠だ。その原因は明白。背後で蠢く"混沌の運び屋(カオスベアラー)"どもが、再び混沌を広げているに違いない。この状況を甘く見れば、世界そのも...
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星の巡り合わせ

己の手で稼いだ金銭。労働の対価を手にした瞬間、何かが変わってしまう。そんな気がした。今までの俺でいられるのだろうか。"絶対的な支配(アブソュート・ルーラー)"から解放され欲しい物を手に入れ、欲望のままに生きる。それは堕落なのか、それとも新た...
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解放の狼煙

中間テストという乗り越え、慌しかった日々は穏やかな日常へと回帰した。だが、その日常の裏には、俺を縛る見えない鎖が存在する。それは、母上の"絶対的な支配(アブソュート・ルーラー)"。その束縛を断ち切るため、俺は新たな領域への踏み込むことを決意...
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無風

中間テストが終わった。短くも苛烈な試練が、ようやくその幕を下ろしたのだ。いつものように、異端の六芒星が集い、新たな策略を練ると思っていた。だが、現実は違っていた。みんなテストで疲れ切っているのだろう。誰一人として声を上げる者はいなかった。心...
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勉強会

来週、中間テストが控えている。その対策として、俺たちは魔界。かつてそう呼んだファミレスに集った。今では馴染みの酒場のように心地よい空間となった。酒場にはいったことがないので想像でしかないが…。今回の集いには、ヴァンガードとドリーマーの姿はな...
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交錯する六芒星

今日は異端の六芒星たちとのショッピングモール遠征当日だった。あれから一ヶ月が経ち、六人と過ごすのが日常となっていた。この奇妙な縁が形を成しつつあるのを感じながら、俺は集合場所へ向かった。集合時間は十二時。集合場所には十分前に到着したが、既に...
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翼の啓示

ショッピングモールに行った。喧騒と無数の光が混じり合う場所。そこは来週、異端の六芒星達と訪れる予定の場所だった。時空の歪みを感じつつも、引き返す選択肢はなかった。集合場所に向かうと、すでにディスパーサー先輩、ファインダー先輩、そしてガーディ...
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漆黒の翼

俺は美術部の片隅で思考の海に沈んでいた。母との買い物計画が脳内を占拠しており、目先のことが手につかなかった。しかし、その静寂を破る人影が現れた。「どうした?」2年生の男の先輩が俺の領域に入り込んできた。母との買い物のことを口にすると、彼は「...