深淵教典

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星の巡り合わせ

己の手で稼いだ金銭。労働の対価を手にした瞬間、何かが変わってしまう。そんな気がした。今までの俺でいられるのだろうか。"絶対的な支配(アブソュート・ルーラー)"から解放され欲しい物を手に入れ、欲望のままに生きる。それは堕落なのか、それとも新た...
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解放の狼煙

中間テストという乗り越え、慌しかった日々は穏やかな日常へと回帰した。だが、その日常の裏には、俺を縛る見えない鎖が存在する。それは、母上の"絶対的な支配(アブソュート・ルーラー)"。その束縛を断ち切るため、俺は新たな領域への踏み込むことを決意...
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無風

中間テストが終わった。短くも苛烈な試練が、ようやくその幕を下ろしたのだ。いつものように、異端の六芒星が集い、新たな策略を練ると思っていた。だが、現実は違っていた。みんなテストで疲れ切っているのだろう。誰一人として声を上げる者はいなかった。心...
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勉強会

来週、中間テストが控えている。その対策として、俺たちは魔界。かつてそう呼んだファミレスに集った。今では馴染みの酒場のように心地よい空間となった。酒場にはいったことがないので想像でしかないが…。今回の集いには、ヴァンガードとドリーマーの姿はな...
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交錯する六芒星

今日は異端の六芒星たちとのショッピングモール遠征当日だった。あれから一ヶ月が経ち、六人と過ごすのが日常となっていた。この奇妙な縁が形を成しつつあるのを感じながら、俺は集合場所へ向かった。集合時間は十二時。集合場所には十分前に到着したが、既に...
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翼の啓示

ショッピングモールに行った。喧騒と無数の光が混じり合う場所。そこは来週、異端の六芒星達と訪れる予定の場所だった。時空の歪みを感じつつも、引き返す選択肢はなかった。集合場所に向かうと、すでにディスパーサー先輩、ファインダー先輩、そしてガーディ...
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漆黒の翼

俺は美術部の片隅で思考の海に沈んでいた。母との買い物計画が脳内を占拠しており、目先のことが手につかなかった。しかし、その静寂を破る人影が現れた。「どうした?」2年生の男の先輩が俺の領域に入り込んできた。母との買い物のことを口にすると、彼は「...
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禁忌の衣

ショッピングモールへの遠征を控え、俺は母に金銭の援助を求めた。俺が無駄を省いた短い言葉で頼むと、母はじっくりと俺を見つめた後、問いを放った。「誰と行くの?」俺は異端の六芒星たちについて簡潔に説明した。その答えを聞いた瞬間、母の動きが止まった...
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顧問曰く

「絵だけ描いていても、いい絵は描けません。」意味は理解できる。世界を知らずして、何を描けるというのか。未知なるものに触れなければ、世界は広がらない。今日、俺が部活へ赴かなかったのは怠惰になったからではない。これは成長のための選択だ。放課後、...
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美術部

俺の夢は、絵を描く仕事に就くこと。いつか、自分の描く世界が誰かの心に響くような、そんな絵を描けるようになりたい。しかし、今の俺ではその夢に辿り着けない。もっと高みを目指すには、技術を会得する必要があると感じていた。そんな俺が見学に足を運んだ...