叶わない願い

深淵教典

文化祭の準備期間に入り、六芒星の女性たちと美術部の先輩たちは各々の持ち場へと消えた。
俺たちのクラスはいつも通りだ。授業が終われば、帰宅するなり、部活へ向かうなりしている。

俺たち三人も、いつものようにファミレスへ集った。

「他のクラスを見てたら、休憩所なんてやめときゃよかったって思ったよ」
グラトニーが虚空を見つめながら呟く。
文化祭の準備に励む他のクラスの者たちは、活気に満ちて輝きを放っているかのように見えた。

「そうだな」
ヴァンガードも同意する。

俺たちはそこで誓いを立てた。
来年こそは、真面目に文化祭に取り組むと。

三人で――それは叶わぬ願いだろう。

クラス替えに加え、二年に進級時には、文理選択がある。
俺は理系科目が壊滅的に苦手。
理系を選ぶことはない。
二人は理系が得意だ。
つまり、来年もこのメンバーで集う可能性は限りなく零に等しい。

俺たちが同じクラスで文化祭を迎えられるのは、今年しかなかったのだ。
選択を誤った。

今更どうにもならない。

手遅れになってから気づく愚かさに苛立ちを覚え、俺はまた後悔を重ねるしかなかった。

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