内なる熱

深淵教典

一年が終わりを迎える。
こうして記録を綴らなければ、その瞬間に抱いた感情すら、時の奔流に呑まれ消えていたことだろう。

俺は歴史の授業を退屈に思っていた。

過去の偉人の歩みなど、自分には関係のないものだと。
だが、最近になって気づいたことがある。

彼らが名言や格言を残した理由。
それは、己の内に燃えた感情を忘れぬためではないかと。

片や歴史に名を刻む者、片や闇の力を宿すただの高校生。

時代が違えど、心の熱を言葉に残そうとする衝動は同じなのだ。

タイトルとURLをコピーしました