カラオケ。
今日が本番。
失敗すれば、次の機会は訪れない。
そんな覚悟で挑んだ。
駅で集合し、カラオケボックスへと向かう。
街はまるで祝福の光に包まれたかのように輝いていた。
それにしても、この時期にカラオケを予約できたとは……
察するに、クリスマス会の決定と同時に迅速な手配がなされたのだろう。
「メリークリスマス!」
その言葉を合図に、聖夜の宴が幕を開ける。
先陣を切ったのはファングとサイファー。
彼女たちは迷いなくクリスマスソングを響かせた。
その瞬間、俺は己の失敗に気付く。流行曲ばかりに囚われ、季節の曲を軽視していた。
だが、今さら焦っても仕方ない。知っている曲を思い出し、何とか乗り切ることにした。
この場に求められるのは柔軟な対応力。生半可な覚悟では通用しない。
歌が一巡した頃、プレゼント交換が始まる。
俺はサイファーからスノードームを受け取り、俺の贈り物はグラトニーの手へ渡った。
使ってくれるだろうか。
俺が歌っている最中、ノックの音が響く。
扉の向こうには、ケーキを持った店員の姿。
一瞬、歌うのをやめようかと思ったが、やめなかった。
仲間がいる、それだけで歌い続ける理由には十分だった。
この行動に「不屈の旋律(インドミタブル・チューン)」と名付けた。
宴の終わりが近づく頃には、喉がすっかり枯れていた。
それでも、思い切り楽しめたから後悔はない。
カラオケは予習しておいて正解だった。
さもなくば、全く歯が立たなかっただろう。
カラオケはテストと同等、あるいはそれ以上の難敵だった。
今後に備え常時修練を積み、最高の状態を維持し続けると決意した。
