新学期から、部活中にガーディアン先輩が勉強に励むようになっていた。
彼の休憩中に文化祭で何をするのか、何気なく問いかけた。
「何もしないかな」
何もしない? まさか先輩も休憩所…?
「そうだろ?」
とぼけた様子でディスパーサー先輩に話を振る。
「そうだな!」
上擦った声、泳ぐ視線。嘘が下手すぎる。
二人の言葉の裏に、隠された真実があることは明白だった。
俺はファインダー先輩へと目を向ける。
「演劇だよー」
あっさりと暴露され、二人の表情が一瞬凍る。
「何役をやるかまでは教えてくれなかったよ」
文化祭への期待が輝きを取り戻した。
失望していた休憩所など、もはやどうでもいい。
あれはただの名ばかりの虚無空間。
そして文化祭当日の虚無空間での俺の役割などあってないようなもの。
つまり、先輩たちの演劇をこの目で見届けることができるということだ。
まさに僥倖。
そんなことを考えながら、文化祭で展示する絵を描く。
その横でファインダー先輩は、「何で言うかな?」と二人に詰められていた。