空が泣いてる…
天気予報では晴れだったはずだが、雨が降った。
傘を持っていなかった。
今日は部室に先輩達はいない。
一人で行くのも決まりが悪く、雨がおさまるまで図書館で待つことにした。
図書館へ行くと見知った顔が二人、ヴァンガードとサイファーがいた。
サイファーとヴァンガードは勉強していた。
向こうもこちらに気付き、ヴァンガードの横に座った。二人とも雨が止むまで待っているそうだ。
俺たちは、他の利用者の邪魔にならない程度に雑談をした。
ヴァンガードは国公立の大学を目指していて、暇さえあれば勉強しているそうだ。
将来の夢は具体的に教えてくれなかった。
遊びに誘うのは悪いのではと思ったが、彼は青春も謳歌したいと言っていた。
勉強もして、友達とも遊びたい。全身全霊で生きている彼はなんだかとても楽しそうだった。
サイファーにも夢はないのか尋ねた。
「私は…」
彼女は夢がなかった。皆が勉強していい学校に目指すのが普通だったから、自分も勉強していただけだと。周りに流されて、合わせているだけなんだと。
俺は将来についていつ頃から考えはじめただろう。
大学受験が18歳、その時までに自分の将来を決めておかなければならない。
俺は夢がある。だが、人によっては18年という短い期間で自分のやりたこと見つけるのは難しいのではないだろうか。
俺は彼女に従兄弟の話をした。
その人は親からやりたいことがないなら、とりあえず偏差値の高い大学へ行けと言われていた。
彼は勉強が出来、偏差値の高い大学へは入学できた。そして、大学2年生の終わりにやりたいことを見つけたが、2年間も高い学費を払ってしまっているため辞めるに辞められないと嘆いていた。
親の言うことを聞いたり、周りの人間と足並み揃えて進学することが正しいとは限らない。
何が自分にとって大切かを真剣に考えるべきだったのだ。
話を聞いた彼女は心なしか晴れやかな表情に見え、同時に雨も弱まった気がした。
もう止むのではないかと、三人で玄関口まで行った。
普通に降っていたので職員室で傘を借りた。