文化祭準備が最終局面を迎え、校内は喧騒に包まれていた。
どのクラスも最後の追い込みに入り、廊下を歩けば、制作方法不明の青春オーパーツが嫌でも視界に入ってくる。
準備をあらかた終えた六芒星の女性たちのクラスはは「決起集会」と称し、カラオケに行くらしい。
それを聞いた六芒星の男たちも、なぜか「じゃあ俺たちも」と決起集会をする流れになった。
無意味な対抗意識になぜか少し笑ってしまった。
行き先はボウリング場。
家族以外とボウリングをするのは初めてだった。
自分が同年代の中でどの程度の実力なのか、確かめる良い機会でもある。
結果は惨敗だった。
ヴァンガードとは互角、おそらく彼と俺は平均的な実力。
グラトニーだけが異常な強さだった。
砂時計を横にしたようなマークを連続で刻み続けていた。
正確無比な投球、迷いのないフォーム。
ピンが弾け飛ぶ音が、敗北の報せのように聞こえた。
帰りにラーメンを啜りながら文化祭当日の予定を話し合ったが、女子がいなのでグループチャットで話し合うことになった。
俺の中で既に決まっていることが一つある。
先輩の演劇だけは、どんな状況であろうと観に行く。別行動になろうと行く。そう二人には宣言した。
