ククククッ…。
ついにやったぞ。
俺は、一人でカラオケに足を踏み入れた!
学校帰り、カラオケへと潜入するべく拠点から離れた店舗を訪れた。
受付を済ませるまでの時間は、緊張に満ちていた。
しかし、一度個室に足を踏み入れてしまえば、そこに広がるのは俺だけの世界となる。
一段、大人への階段を登った。
だが、自由を得たのも束の間、不意に訪れた影によって断ち切られる。
店員が飲み物を持ってきた瞬間、俺は沈黙を強いられた。
扉の向こうへ去っていくまでの数秒間、俺の鼓動は異常なまでに高鳴っていた。
今までに味わったことのない奇妙な感覚――
俺はこの感覚を「店員による静寂(サーヴァント・サイレンス)」と名づけた。
