入学式が終わり、俺はただ静かに帰宅しようと足を進めていた。
しかし、運命の歯車が狂い始める。
「ファミレスに行かないか?」と、話したこともないクラスメイトに誘われたのだ。断る理由も浮かばず、俺は頷いてしまった。
そして後悔した。
ファミレス。そこは平凡な空間のはずなのに、振り返ってみれば俺にとっては、まるで魔界だった。
20人。想像以上に集まった人に圧倒され、口を開こうとしても声が出ない。
クラスメイトの華やかな笑い声が周囲を支配し、俺の存在はまるで影法師のようだった。
「雄弁は銀、沈黙は金」だと信じて耐えるが、視線をどこに向ければいいかすら分からないので、メニューを見続けた。
いざ、話しかけられてもぎこちない会話しかできず、周囲の薄い反応が俺の心を闇に沈める。注文したハンバーグの、味がしなかった。
解散する時に連絡先を交換した。
「なぜ初日から、俺はこんな地獄にいる?」と考えながらも無理やり笑顔を作りながら、みんなに別れを告げた。
そして今、俺は明日のことを考えずにはいられない。
同じ教室で、どんな顔をして彼らと向き合えばいい?
俺の闇が色濃くなり、混沌が渦巻く。新たな地獄の始まりか。
ただ一つ言えるのは、俺の心に刻まれた「気まずさ」という呪いは、容易に消えることはないということだ。